AFTER THE RAIN / BELLEFIRE
 アイルランドのグループであれば何でもケルトになるかどうか?分かりませんが、とりあえず最近聴いて印象に残ったアルバムということで。このBELLEFIREはレコード会社のオーディションで集められた4人組の女性コーラス・グループで、平均年齢21〜22歳という人たちです。このアルバムは'01年リリースですが、ちょうど同時期に売り出してヒットしたBONDのコーラス・グループ版という感じですね。あるいはTHE CORRSのブレイクを受けてのデビュー、という流れなのかもしれません。CDの帯部分にも"Innocent Pop Choir"と書いてあります。わざわざイノセントと注釈付けている通り、全員が白の衣装を着用していてピュアなイメージをアピールしている感じ。音楽にアクの強さとか個性的な何かを求める人には、非常に退屈に感じてしまう内容だと思います。CORRSから一切のアクを取り除いて、爽快感と安心感だけで構築した音楽というところでしょうか? 正直、歌唱力は今ひとつというか、歌そのものが弱い感じがしますが、あんまり自己主張が強いとこの手のやつはダメなのでしょうね。この色の無さみたいなのが、逆に売りになっているというか。でも、CCMやカントリー(一部の女性シンガー限)漬けで精神の洗浄を繰り返している身としては、割と生命にフィットする音だったりするわけです。ケルト的(ケルト音楽自体ほとんど素人なので、語ることはできませんが)なカラーというか、土着のメロディみたいなのはほとんどないので、そういったものを期待すると極めて味のない、淡白な音楽に感じられると思います。最初、このアルバムに惹かれたのはカヴァーが3曲入っていることでした。それは矢井田瞳"Buzzstyle"CHEAP TRICK"The Flame"U2"All I Want Is You"です。"The Flame"を選ぶところなんか、いかにもって感じですね。カヴァー曲の出来は正直イマイチで、それよりも(2)"I Wish I Could But I Can't", (5)"Surrender", (8)"All The Money In The World"といったオリジナル曲の方が、透明感のあるキャラクターを活かし切れている感じがしました。特に(5)はセオリー通りの歌メロが産業的というか、思わず「メロディアス」と言いたくなってしまう楽曲です。カヴァーばっかりシングルにしないで、こういうのを切りゃあ良かったのにな。実力のなさ故?(ファンの方いたらスミマセン)BONDみたいにブレイクには至らなかったようですが、やっぱりそのまま消滅しちゃったんですかねー。http://www.bellefire.co.uk     (hatch)


TURQUOISE / TURQUOISE
 ポーランドの5人組による、ロック・バンドでしょうか。メロディアス・ハードとまでハードでもなく、ゴシックというには明るすぎて…そんな女性Voバンドです。ちなみにこれは1stアルバムですが、2ndアルバムまで出ています。2ndでは、この1stで見事な歌唱を聴かせてくれるKatarzynaおねいさんが脱退してしまっているので(泣)、自分はこの1stの方が気に入ってます。さて、バンドの演奏がどうだとか、曲がどうだとかより、まずこの女性Voが本当にたまらないのです。1曲目のznak(多分ポーランド語です)の歌いだしで「ラララ〜ラララ〜ラララ〜」と、なよやかに囁かれた時点で、既に勝負はありました。これを反則といわずに何をいわんや…癒されます。決して「ここが良い!」みたいなセールス・ポイントが存在する訳ではないのですが、全体的に良いのです。明るくて透明感のある曲調から、愁いのある曲調、はたまたどこかファンタジーな曲調まで、しっとりゆったりと聴かせてくれます。思わずバンドにメールしてみたくなったのですが、オフィシャル(http:://www.turquoise.prv.pl)に飛んだらなんだか良く分からないサイトに飛んでしまって、ちょっと欝になってみたり…とにかく、癒されるアルバムです。   (chiha)


SSS -SIMPLE SING SONGS - / 上野洋子
 元ZABADAKの女性Voの'03年リリースのソロ・アルバム。アイリッシュ・トラッドのカヴァー・アルバムです。オリジナル曲が2曲ありますけど。正しいケルトのメール・マガジンで、かなり評価が高かったので、とても気になっていました。元曲はアイリッシュ・トラッドですが、それを彼女のふわふわしたヴォーカル・スタイルを生かすかのような、かなりオリジナリティあるアレンジでやられていることがとてもいいです。更に知っている曲なども、ちらちらあったりして、そんなことも単純に聴いていて楽しいです。"The Blacksmith"STEELEYE SPANもやっていた曲でしょうか。でも同じ曲というイメージがつながりません。ほとんどアカペラのような感じです。どこかで聴いたことある"Paddy's Green Shamrock Shore"は、美しい多重コーラスで、メインでは可愛い歌声で歌われていて、彼女の本領発揮でしょうか。わりと普通のケルトなアレンジでやっている"Will Ye Go, Lassie, Go?"は男性Voとのデュエットになっているのですが、この男性Voはとてもいい声をしていて、驚かされます。なんかほんとトラッドを歌う感じの声ですよ。"Black Is The Colour"は歌メロの良さにぐっときます。"The Raggle Taggle Gypsies〜As I Roved Out〜The Spanish Lady〜The Wild Rover"のメドレーは聞き覚えのある歌メロ連発で、とても楽しく聴けます。わりと正しいケルトなシンプルなアレンジですけど、そんな中にもいきなり多重コーラス入れたりするのが普通じゃなくて、面白いです。…"The Wild Rover"は合いの手を入れたくなります。そんなわけで、とても気に入ったアルバムになりました。http://www.uenoyoko.com/ (純生)