吉良さん上野さんによる、２人ZABADAKのラストアルバムにして最高傑作です。ZABADAKには、はずれの曲はあっても、はずれのアルバムはありません。しかしこのアルバムには、はずれの曲も見当たりません。もともと、色々な要素を取り入れてきた２人で、今作はその集大成となっており、統一感が無いように聴こえますが、それこそがZABADAKの真骨頂なのです。オープニングを飾る"五つの橋"の素晴しさったらありません！ お得意の３拍子で、トランペットまで上手く取り入れた絶妙なアレンジに、上野さんのかわいい歌メロが乗るこの曲は、間違いなく上野さんが残した楽曲では最高レベル。何万回聴いても飽きることがありません。続く"アジアの花"は同じく上野さん作曲なのですが、じっくり聴かせるタイプの曲です。詩を新井昭乃さんが書いているのもポイントでしょう。３曲目、５曲目の"マーブルスカイ"、"休まない翼"は吉良氏が歌う曲なので省略。（笑）いや、どちらも良い曲ですよ。４曲目"Psi-Trailing"と、９曲目"歩きたくなる径"は上野さんのヴォーカルが堪能できる名曲です。"Psi-Trailing"のほうは哀愁のメロディと印象的な歌詞が魅力の名曲。"歩きたくなる径"は、まさに上野さん無くしてこの曲は成り立たん！という感じで、ピアノ、ストリングスの控えめなアレンジは上野さんの歌を最大限に引き出し、孤高の名曲に仕立て上げております。民謡を取り上げた６曲目"椎葉の季節"は???ですが、８曲目の長いインストであるタイトル曲"桜"は今までにないタイプのプログレ曲。徐々に盛り上がっていくこの曲をラストに持っていったほうが良かったように思われますが、名曲であることに間違いありません。本当に名曲レベルが多数収録されたこのアルバムを最後に、上野さんが脱退してしまうのは残念でならないのですが、喧嘩しながら作ったと、当時のインタヴューで言っていたように、２人のとても強い個性がまともにぶつかり合って生まれたこのアルバムが10年たった今でも光り輝いていられるためのものだと思えば、ちょっとは納得できるような気がします。
（K2）
1980-1982 THE RADIO 1 SESSIONS / DEXYS MIDNIGHT RUNNERS
"Come On Eileen"という大ヒット、そして忘れることが出来ない懐かしい名曲を持つイギリスのパンク・バンド…パンクといっても、もっとパンクから細分化されている適切なカテゴライズする言葉があるのでしょう。Voはソウルフルだし、トロンボーンやサックス奏者もメンバーにいるバンドです。ちなみに"Come
On Eileen"はSKYCLADもカヴァーしています。で、このバンドのイメージは私はこの１曲のみで充分…だったのです。この曲が収録されている2nd『TOO-RYE-EYE』は大人になってからCDで買いました。で、今回、ちょっと安い値段で数枚が売られていたので、ゲットしてみました。まず、このアルバムは'95年リリースのBBC
SESSIONの音源を８曲収録したものです。日本盤です。残念ながら、"Come
On Eileen"は収録されていないんですよね。それと、この曲のイメージからすると、女性のフィドル奏者がいて、ケルトなイメージも強いのですが、フィドル奏者は時代によっては存在しないし、ケルトな曲もごく一部というわけ（というか、この８曲にはケルトな曲はない）。『TOO-RYE-EYE』からの曲が８曲中６曲も演奏されていて、知っている曲ばかりなので、とても和めます。ソウルフルなVoがとても良い声で、弱々しくもあって、とてもいいです。しっとりした曲などは、泣きたくなるぐらいにいい。"Come
On Eileen"などなくても、充分に楽しめたというわけです。てゆうか、2ndのリマスター＋曲追加というのも、しっかり買っていますけどね；
"Jackie Wilson Said"はアイルランドのロック・シンガーVan Morrisonがヒットした、ロックのスタンダード・ナンバーなのだとか。 （純生）SEARCHING FOR THE YOUNG SOUL REBELS / DEXYS MIDNIGHT RUNNERS
で、こちらは'80年リリースの1st。リリース20周年記念ということで、'00年にリマスター＋ビデオ・クリップ２曲付きで再発されたものです。初めて聴く曲ばかりですが、トロンボーンとサックスの優しい音に包みこまれた、パンクっぽい熱いものもありながらも、ほのぼのとしたキャッチーでいい曲をやられています。フィドル奏者はこの時代にはいません。"Geno"は全英１位になった曲だそうです。確かにアルバム中でも和める曲の極みかも。ビデオ・クリップはその"Geno"と"There There My Dear"を収録。演奏シーンとか見てしまうと、ますます気に入ってしまいます。サックス奏者が２人もいて、演奏のアクションがぴったり合っているのがいいです。 （純生）