このMUSHROOMはアイルランドのフォーク・グループで、唯一のアルバムです。CD化はされてましたが、しばらく品切れで、このほど私もやっと買えました(｢何言うてんの? 僕が<入手した>って言ったら、原盤に決まってるやん｣とか言われたら泣く)。しかし、このグループは本当に｢フォーク｣と言っちゃっていいのでしょうか。といのは、１曲目はまともなフォークで、つい油断しますが、２曲目以降はフォークでも何でもない曲が続くのです。いや、基本は一応フォークなのですが、フォークのくせにDsはドカドカツトロロツタタタと自己主張しまくるし、Ｂはよおく聴くと上に下にと走り回ってるし、Ｇやヴァイオリンは隙あらばソロを取ろうと割り込んでくるしで、｢うーん、無茶だねえ君達、いいよいいよ｣と嬉しくなってしまうのです。Ｇがもう一本入ったらWISHBONE ASHになってもおかしくない曲もあるし、ROYAL HUNTの"Martial Arts"をフォーク・バンドがやったら、こうなりましたという曲(!!)もあるし、そうかと思えば実にまっとうな(純生さんが好きそうな)ダンサンブル・ナンバーもあります。そして最後の"King Of Alba"。歌い出しと同時に走る走る。まさかフォークでヘドバンできる日が来るとは思わなかった。もう最高。いや、本当に楽しい１枚だった。(緒方賢史)
FANDING BEAUTY / FAITHFUL BREATH
ユニオンのFemale Voの中古コーナーから安かったので拾ってきたアルバム。ジャケットはチープな単色の少女を描いたイラスト。中身も古かった。'73年リリースで、男ばっかりの５人組。３曲入りで45分…って、期待しているようなアルバムではありませんでした。静かにKeyが流れて、アコギが入って、たまに男性Voが歌って、ごくたまに女性Voが入る。フォークなプログレの類でしょうか？ めちゃくちゃ静かな展開なので私の趣味ではなかったです。他にいい解釈方法があるのかもしれませんけど。（純生）
GOTHIC IMPRESSIONS / PAR LINDH PROJECT
北欧出身のKeyプレイヤーによるシンフォニック・ロックをやられているプロジェクト・アルバムの'94年リリースの1st。アルバム名買い可（笑）。大仰なKeyのプレイが流石に目立ちますね。ELPとかと同じような感じなのでしょうか。歌っているのは普通声の男性Voなのが、ちょっとつまらないです。って、あくまでもプログレなのだから、デス声では困るか（汗）。よく聴くと元気な曲における、ベースやドラムのプレイも自己主張していて、なかなかいいんです。特に大作"The Cathedral"での激しいプレイの応酬、その展開には血が騒ぎます。またイントロやアウトロのところどころで聴かれる女性コーラスに透明感のあるKeyが入るところなどは、ELENDのような雰囲気なのです。そして３分弱と短いですが、女性Voだけがしっかりとハーモニーをつけるアコースティックな楽曲"Gunnlev's Round"。優しげなメロディでいて、この曲は鳥肌ものに気に入ってます。ムソルグスキーの"禿山の一夜"もやってます。2ndでは、ここではちょびっとだった女性Voが大フーチュアされていて、凄いことになっているらしい。（純生）
桜 / ZABADAK
マーキー系邦楽男女デュオ（？）ZABADAKの'93年リリースのアルバム。でもプログレというわけではなさそうです。女性Voが遊佐未森風でいいかも、ということで聴いてみました。もちろんバンドの存在なども全然知りませんでしたけど。で、女性Voのかわいい声！ ちょっと普通じゃない歌メロ！ とてもいいです。遊佐未森との共通する部分あります。ルックスも不思議少女、あるいは大人になれない少女という感じ（どんな？）でいいです。バックのサウンドもなかなか凝っています。フレットレス・ベースも聞こえてきます。特に気に入ったのはオープニングの"五つの橋"とラストの"Tin Waltz"で共に民族音楽が導入されているようなちょっと元気な楽曲です。「ららら〜」なんて可愛いハーモニーがいいです。前者ではアコーディオンが、後者ではホイッスルが活躍してます。他の曲で女性Voが歌うのは、わりと落ち着いた静かな曲が多いです。歌メロあっての曲という感じです。"桜"はインストの大作で、静かながらも適当に展開があって、気に入っています。後半は踊れるトラッドのメロディが入ってきて、最後にはあまりくどくない泣きのギターが入る。この曲だけプログレ？ 男性Voが歌う曲は、全然つまらなくて、だめだめでした。なくていいですね。それにしても、日本のシーンでは売れそうにもない； ちなみに現在は女性の方が抜けて、男性だけでZABADAKを名乗っているようなので、間違ってもそっちは買わないようにしたいものです。（純生）
NOTHING TO HIDE / BLACKFOOT SUE
デイヴ＆トムのファーマー兄弟率いるイギリスの４人組の1st('73年)。アルバム・デビュー前のヒット・シングル"Standing In The Road"(＋その他４曲)が追加収録されている!と興奮したが、 これはたいした曲ではなかった。アルバム本体の方は、ヘヴィ＆ファストなＨＲナンバーや、可愛らしいポップな曲や、暗い目の静かな曲などが色とりどりに入っていて、でも基調はイギリス色であるところが、QUEENの1stなどを想起させる。しかし全体的には、'73年というよりも'60年代の中終盤のような穏やかな雰囲気である。残念なのはほとんどの曲が３分台以下で終わってしまって、感情が爆発しないままに先に行ってしまうこと。良い曲は多いのですが。ところで、ライナーの最後の方に｢実はつい最近、再結成してアルバムも出している｣みたいなことが書かれているんですが、どういうことなんでしょうか? (緒方賢史)
