Sinon(3)

 今はSPRAYというユニットで活動しているSawaがまだSinonだった頃の話です…。'94年の頃の話です。

 雑誌「ぴあ」を見ていて、ふと広告の「紫音」という文字に気がついた。「紫」という一文字に対しては執着心が強いせいか、異状なほどの反応をしてしまう。Sinonという女性ヴォーカリストのデビュー・アルバムのタイトルが『紫音』なのであった。「紫音」と書いて「しのん」と読ませるのだろう。このことだけなら「ふ〜ん」で終わってしまう。他のページには彼女の無料デビュー・ライヴの告知がされてあった。バイオがちょっと書いてあり「沖縄出身」であることが分かった。あの紫ときっと何か関係があるに違いない。ただの偶然ではないだろう。次の週だっただろうか「ASIA MUSIC FESTIVAL」なる、日本をも含めたアジア各国のバンドを集めたフェスティバルが開催されることが告知される。そこに、元紫の城間兄弟が在籍するISLANDが出演するそうで、私の知る限り東京での初ライヴなわけで、小躍りしてしまう。5日間連続して、1日ごとに出演するバンドも違うのです。ISLANDと同じ日にSinonの名前もあり、ますます紫とSinonに関係があることに確信を持つ。

 レコード店で『紫音』アルバムを手にした。曲名を目で追うと、私がカラオケで「思い入れたっぷりに熱唱してしまう」"Stay With Me"に気が付いた。あの曲のカヴァーなのか、同名異曲なのかは分からないが、ISLANDのついでとはいえSinonのステージも見ることだし、そのアルバムを購入した。まずブックレットで、"Stay With Me"がISLANDの曲のカヴァーであることを確認した。加えて、Special Thanksに城間兄弟の名前もクレジットされている。ガッツポーズ!!

 Sinon・・・20歳、鼻が大きくて丸い、典型的な沖縄顔の美形。本土の顔とは違うので、美形と思わない人もいるだろうけど、私は好き。1曲だけ彼女が詩を書いているが、他はいろいろな人に曲を書いてもらっている。レコーディングは東京でされ、ミックスは沖縄でされたようだ。バックのミュージシャンには私の知る人はいなかった。

 ヴォーカリストとしては、安定感はあるが特に歌唱力があるというわけではない。多少、どきっとさせるような表現力豊かな歌い方をしているが、これは私個人が思い入れによって感じることだと思う。曲もハード・ロックじゃなくて、普通のありふれたさわやかなニュー・ミュージックに感じる。曲から沖縄を感じさせものもなかった。彼女が沖縄出身でなかったら、聴くことはなかっただろうな。たまには、こういうのもいいかなと思う。

 "Saty With Me"はアコギ・ヴァージョンだった。女性が歌ってもぴったりくる曲なんだなあ。まあ、城間さんは男性的な声じゃない、きれいな高音だものな。"海の匂いがする"では「幸せになりたいね〜」というところが、凄くドキドキしてしまう(笑)。"抱いてあげる"では「抱いてあげる、今のままの君を〜」というところで、抱いて欲しいと思ってしまう(笑)。いや〜つまらない曲もあるけど、なかなかいいもんです。

 さて、10月に無料招待の東京デビュー・ライブが渋谷のライブハウスで行なわれました。私は気が付くのが遅くて応募したけど、しめきり日にも間に合わなかったのだろうな(後日、優先予約の案内が届いたけど)。11月にはISLAND他と共演です。今頃は終わっているだろうけど、これを書いている時点ではまだ見てない。12月には有料の単独ライヴをライブハウスで行なうようで、新聞にも告知されていたところを見ると、かなり力を入れて売り出そうとしているんだろうね。まだ、そのライブに行くほど入れ込んでないけど。    (純生)

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