INSANITY OF SLAUGHTER, INFERNAL NECROMANCY, FUNERAL RITES, BELIEVED　'00.03.25　名古屋MUSIC FARM
　３月25日、この日は名古屋でのブラック・メタル・イベント「UNHOLY BLACK METAL Vol.2」の日。前回のVol.1は仕事の都合で見られなかったので、今回は是非とも…ということで、当日は夜勤明けだったのですが行くことに決めました。一緒に夜勤をしていたメタル友達も「自分も観てみたいっす」ということだったので、その彼とさらにもう１人を誘って名古屋に出立。せっかく名古屋まで行くならDISK HEAVENにも行きたいし中古CDも漁りたい…ということで、時間には余裕を持って行ったつもりだったのですが、CD屋を廻って会場に到着したのは開演ギリギリの時間でした（駅から走った走った）。眠気と疲労感に襲われていた式神はもうこの時点でヘトヘトになってました；
　この日出演したバンドは全部で５つ。最初のバンドは、このイベントのタイトルには似付かないニット帽にTシャツ・短パンという格好をした今風のヘヴィ・ラウド系のバンドで、当初出演する予定だったバンドの１つが出演出来なくなったために急遽数合わせで出演することになったみたいです。この時点でのお客さんは僕ら３人を含めて13、4人程度。曲はなかなか良いと思うし、メンバーのルックスも結構良かったので、出るところに出ればそれなりにウケそうな感じはするのですが、何せ今回の客はブラック・メタラー（笑）。全く反応はなく、何だかかわいそうでした。
　このバンドのステージが終わると、いよいよ本編開始ということでお客さんもぞろぞろと増えてきました。ステージの上に十字架や豚の頭（！）が持ち込まれて、ブラック・メタルのライヴらしい雰囲気になってきました。ブラック勢の最初に登場したのは地元のINFERNAL NECROMANCY。このバンドは全員白塗りの５人編成のブラックで、ギターの人がDARKTHRONEの『TRANSILVANIAN HUNGER』のTシャツを着ていたのですが、１曲目がいきなりそのタイトル・トラックの"Transilvanian Hunger "で、めちゃくちゃ嬉しかった（笑）。ギターの音は本家に劣らずチリチリで、プリミティヴな雰囲気を撒き散らしてました。ヴォーカルはひたすらヒステリックにわめき散らすタイプです。続く曲も同アルバムからの曲（３曲目…前号のレビューに書いたとおり、この２曲とも大好きなんですよー！）で、これまた嬉しかった。途中、そのギターの人が「メンバーとABRUPTUMをインダストリアルにしたような音楽もやっている」というような事を話していたのですが、よく見るとメイクはABRUPTUMのItみたいでした（って誰も分からないだろうけど…）。その後は知らない曲が続いたので、オリジナルの曲もやっていたのでしょうか。ライヴの終盤、Vo氏がサタンに捧げる詩を長々と読み上げ、メンバー全員で十字架を掲げてそれぞれ「サタン！」と叫びながらその十字架を床に叩きつけて壊すという演出もあり、かなり楽しめました。ラストはメンバーが豚の頭を掲げてキレ気味に何やら叫んでいました。うーん、サタニック。
　続くINSANITY OF SLAUGHTERは、同じ名古屋の４人編成のブラック・メタルで、以前この会場に来た時にたまたまチラシを見て白塗り黒マントのメンバー写真に心引かれていたのと、今回のライヴの少し前に出来たホーム・ページを見て興味を持っていたので、観るのを楽しみにしていました。前のINFERNAL〜に比べると曲はスラッシュ色が強く感じられ、ヴォーカルにも起伏があってなかなか良い感じです。Vo兼Gの人が舌を出しながら不気味な笑顔でステージを徘徊する様は恐くて良いです。デモも出しているようなので音源の方も聴いてみたいです。
　ブラック・メタル勢のトリは東京（リーダーの人は大阪にいるけど…／笑）のFUNERAL RITES。今回の出演バンドの中では一番歴史の長いバンドです。数年前にデモを聴いてとても気に入っていた北欧ブラック＋スラッシュといった感じのバンドで、ライヴを観るのは初めてです。ところが、いざステージが始まってみるとギターの人が違う……数曲終わったところでVo兼Bの人が、今日はギターが都合でライヴに参加出来ず、普段はサポートでキーボードを弾いている凶音の沼琴氏が急遽ギターを弾くことになった、と説明。そういう不規則な編成でありながらも、演奏に関しては全く問題なく（まあ沼琴氏は凶音ではギターを弾いてるから本職なんですけどね）、またドラムの人は他のバンドではヴォーカルをやっているということでちょっと不安もあったのですが、実際観てみたら全然うまいしカッコイイじゃないですか！ この日は僕の大好きな"Necroeater"もやってくれたし、新曲も良かった。途中、ベースの弦が切れて一時ライヴが中断するというハプニングもありましたが、客もこの日一番の盛り上がりを見せました。次は是非Key入りでのライヴを観てみたいです。
　トリは東京のデス・メタル・バンドBELIEVED。名古屋初公演とのことです。一部では以前そのサタニストぶりが有名だったらしい坪井氏（Ds）がヘルプで参加しているバンドです。ベースが外国人で、２人いるギターのうち１人もヘルプらしいです。この日の出演バンドの中では一番ギターがザクザクしていてドラムもパワフルでカッコ良く、まさにデス・メタルらしいデス・メタルという感じです。これまでに登場したブラック・メタル・バンド群とは当然ながら明らかに一線を画す音でした。Vo氏の声は非常にカッコ良く、体全体を使ったパフォーマンスも独特で、帰りの電車の中で友人とそのパフォーマンスをマネしたりしてました（笑）。外国人のベースの人はあまり動かず、ひたすら黙々と弾いてました。それにしても他の３バンドに比べると観客の反応は鈍く、バンド側から「名古屋のオーディエンスは非常に熱狂的だと聞いていたけど……その通りだぜ」と言われてしまう始末。自分もこの頃になるとさすがに前夜から蓄積された疲れでもうフラフラしてました； 時間が押していたためか、BELIEVEDのステージは割とあっさり終わってしまいました。それと同時に終電の時間の関係もあって、僕達もすぐ会場を後にしました。ちなみに、この日一緒に行った友人２人のうち１人はこの手の音楽に対して全然免疫がなかったのでかなり辛そうでしたが（笑）、メタルも聴くもう１人の友人はFUNERAL RITESをかなり気に入ったようで、「アルバムが出たら買う」と言ってました。
　このイベントは年２、３回の開催を目指しているということですが、今や東京でもブラック・メタルのイベントは皆無に等しい状態ですから、国内のブラック・メタルを盛り上げるためにも、是非主催の方々には頑張って続けていってもらいたいです。僕もまた都合のつく限り足を運びたいと思います。 （式神）