ARCH ENEMYのChristopher Amottのサイド・プロジェクトの'97年リリースの1st。ARCH ENEMYは1stだけしか聴いていないが、あちらよりもより更にギターが泣き泣きなのが特徴。Vo（IN THY DREAMSのメンバー）はデス声だが、スピード感ある楽曲群は清涼感さえ感じる。"Godforsaken"は途中のドライヴ感が非常にいい。"The Juggernaut Divine"はこれまた疾走感のある曲なのだが、後半は延々と続く泣きまくりのギター・ソロになっている。ためてためて最後に泣くというMSGの"Into The Arena"の展開を思わせる。"Funeral In Space"のようなアコギ＋ヴァイオリンでその上に哀愁の泣きのギターという純様式美ギタリストのアルバムに収録されているような楽曲もそつなくこなしている。エンディングの"Into The Sun"も前半力強く、中盤に速度は落とさずに静かに美しいパートがあり、後半は最後とばかりの泣きまくり…ああでも最後にデス声のパートがはいってきて、あっけなく終わってしまうのが物足りない。この曲のギター・ソロはもろにMichael Schenkerのようです。ARCH ENEMYもそうだけども、他のメロデスとは違ってメロディが臭くなく（臭いのは、またそこがいいのだが）、スマートでメロディが流れるような美しさを持っているのがいいです。（純生）
DIE LIEBE / ATROCITY FEAT.DAS ICH
ドイツ出身のデス・メタル、'95年リリースのアルバム。このバンド、普通のあまり面白くないデスのアルバムもリリースしているのだが、女性Voをフィーチュアしてトラッド風のゴシック・メタルの名盤レベルのアルバムも作っている。そして、本作はドイツの２人組のDAS ICHなるテクノ系の人達とテクノ・サウンドに仕上がっています。ATROCITYの音楽的才能って凄いと思う。しかもDOROがテクノ・ヴァージョンで歌ったアルバムというような単純なものではなく、HMの雰囲気はノイジーなギター・リフと時折アグレッシヴになるようなところだけで、テクノを知らない私にとっては強烈なオリジナリティーを放っている音世界なのです。しかも楽曲がいい。"Die Liebe"はテクノ集団LAIBACHのカヴァー。オリジナルは聴いたことないので、元からなのかもしれないが、テクノなサウンドにクラシカルなストリングスが被さってくるのが凄くマッチしていて面白い音になっている。アルバム全体は暗い雰囲気に包み込まれている。灰色のイメージな楽曲群。ラストの"Die Todgeweihten"はノリノリの楽曲で気に入った。最後の１分だけデス・メタルちっくなブラスト・ビートになるのもいい。（純生）
THE FINAL WISH / AVRIGUS
オーストラリア出身の男女２人のゴシック・メタル・バンドのおそらくはデビュー作の４曲入りミニ・アルバム。透明感溢れるソプラノ女性Voが静かに歌うのが非常にいい。楽曲はKeyとピアノでしっとり系の曲を叙情的にドラマティックに仕上げている。根底のメタルな力強さはあるけど、もうプログレで語られてもいいようなサウンドです。今後リリースされるであろうフル・アルバムにも期待します。（純生）
...FROM A BLEEDING HEART / BESEECH
スウェーデン出身の５人組ゴシック・メタル・バンドのおそらくは1st。ゆったりとした曲調でいて、力はいる時は力はいるというオーソドックスなゴシック・メタルではあるが、女性Voがゲスト扱いながらも半分ぐらいの曲でデュエット状態になるのがポイント。THEATRE OF TRAGEDYのLivに近い雰囲気のソプラノ・ヴォイスで、彼女の力弱い歌メロにコーラスがとてもいいし、入り方が絶妙過ぎる。男性Voは盛り上がる曲調ではがなり声で、静かな部分では歌い上げるタイプで、それに楽曲もしっかりしているしで、女性Voなしの曲でも合格。ヴァイオリン、チェロ、フルートなどの楽器も効果的に使ってメロウな雰囲気を演出している。オリジナリティはないけど、女性Vo入りゴシックの当たり前のことをしっかりとやっている。これに私が気に入らないわけがない。（純生）
MYSTICA / THE BLOOD DIVINE
元ANATHEMAのVoと元CRADLE OF FILTHの３人が結成したゴシック・メタル・バンドの'97年リリースの2nd。買い漏らしていたのだけども、1stは好きなアルバムだったのでANATHEMAの新譜を買った時に思い出したようにして一緒に買いました。1stに比べると楽曲はシンプルになっているかな。でもメロブラ的なバックの効果音みたいなサウンドはいいです。Keyというかオルガンの速いリフがかっこいい曲が数曲。それと今のANATHEMAにはない勢いがある楽曲はいい。何よりも、やっぱりこのVo氏こそが私にとっては初期ANATHEMAを思い出せてくれるのがいい。当時のようにデス声ってわけでもないけど、その名残がある荒っぽくも嘆きが含まれるような歌い方がいいです。残念ながら、先頃バンドは解散してしまったそうです。（純生）
